東京・池袋で87歳の男性が運転する車が暴走し、2人が亡くなった事故から今日で一週間。記者会見での遺族の言葉が反響を呼ぶ中、「自分は(運転に)自信があったけれども、人を傷つけたらもうおしまいだと思ったので」「早めに返還する選択は自分で決断しなければいけないかなと思う」と、実際に免許を自主返納した人もいる。
一方、『池袋事故 無罪では済ませない』というオンライン署名も登場、加害者への厳罰化を求める声も後を絶たない。このことについて拓殖大学非常勤講師塚越健司氏(情報社会学)は「社会保障問題などで世代間対立の火種を抱えていたところに今回の事故が起き、"高齢者憎し"の感情が一気に噴出した。本来、交通事故ではメカニカルな部分も含めて工学的な防止策などの議論が重要だが、特にネット上では感情が優先しているため、建設的な議論ができていない」と指摘する。
作家の乙武洋匡氏は「やはりご遺族の方が会見をなさってから、運転していた方への非難の声がより強いものになった気がする。確かに彼が免許を返納していれば不幸な事故を起こさずに済んだし、"なんでお前はあそこで…!"となるのも自然な感情だろう。ただ、一番大事なのは事故が二度と起こらないようにすることであって、運転していた方に怒りをぶつけるのがベストではないのではないか。私自身は車椅子のいわゆる"交通弱者"で、運転していた方も足が不自由だったと報じられているので、もし公共交通機関に乗ろうとする時、どれだけ優しい作りになっているか、周りの方々のお手伝いが期待できるか、と考えると思うその時に、"だったらもうちょっと車を運転しようかな"と思ってしまう社会なのかもしれない。そうであれば、どうすれば免許を返納し、公共交通機関を利用しようと思えってもらえるのか、そのための建設的な議論が必要だ」と話す。
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