米ウーバー・テクノロジーズ社は5日、ライドシェアサービス「Uber」の安全報告書を公表、2年の間に約6000件の性犯罪が発生していたことを明らかにした。ただ、同社は23億に上る利用回数の99.9%以上は安全に利用できるとし、ダラ・コスロシャヒCEOも「多くの人はこれらの事件がどれほど稀か驚くだろう。正しいことは性的暴行を終わらせるために件数を把握し、向き合い、行動を起こすことだ」との考えを示している。
その利便性から、各国で多くの人が利用しているUber。今回の報告書に、タクシードライバーが犯罪被害に遭うケースが度々報じられ、事故対策のためにドライブレコーダー設置も義務化されている日本では、驚きの声が挙がっている。
しかしUberをめぐっては、実は応募者の100万人以上が身元チェックを通過せず、継続的な身元チェックでは4万人以上が削除されている現状もある。イギリス・ロンドンの場合、運転手は登録制だが、アプリでは写真を別人と差し替えることが可能となっていため、実に約1万4000件で別人が運転していたとされている。こうしたことからロンドン交通局は先月、Uberのロンドンでの事業許可を取り消すなど、規制を強化した。
シェアサービスの問題解決に取り組むTRUSTDOCK社の千葉孝浩氏は「報告書の比率は少ないかもしれないが、それでもショッキングな数字だ。人と人とが取引をするサービスについては各国で規制が異なっており、Uberも参入できる国や参入の仕方が違う。Uberの場合、第三者が運営するリファレンスやバックグラウンドチェックの専門サービスを利用して身元確認をしているので、犯罪歴なども一定程度は照会できるようにはなっている。ただ、初犯だった場合は紹介ができない。また、乗客側が加害者になったケースも4割くらいはある。そうなってくると、被害をゼロにすることは現実的には難しいと思う。ただ、これらを可視化し、きちんと対策していくという姿勢を示したことについては評価すべきだ。こういった問題はUberに限らず、シェアリングサービス全般で散見される。これもインターネットのプラットフォーム、マッチング、ペイサービスが急拡大していることの歪みの一つだと思う」と話す。
0コメント