適用の対象・基準はどうあるべき?川崎市の“ヘイトスピーチ禁止条例”から見えてくる課題(19/12/12)

 川崎市議会で12日、民族差別的な言動、いわゆるヘイトスピーチを繰り返す人や団体に刑事罰を科す、全国で初めての条例が可決・成立。来年7月1日に施行される。


 条例では、市長からの勧告や命令を無視して、公共の場所で、特定の国や地域の出身者に対するヘイトスピーチを3回繰り返した場合、個人や団体の名前を公表するほか、最高で50万円の罰金を科すことも定めている。福田紀彦市長は「この街から不当な差別をしっかりなくしていくというその決意を今回の条例成立で決意を新たにして、先頭になって取り組んでいきたい」とコメント、市内で差別問題に取り組むぺ・チュンド氏は「強い姿勢を示したという意味で、行政が頑張ってくれたことは非常に評価できるのではないかと思う」と話している。


 川崎市では2015年、在日コリアンらが中心となって行われた安保法制反対のデモに反応したヘイトデモが起こるようになった。議論の高まりを受け、翌年には「ヘイトスピーチ規制法」が成立。そして今回、川崎市が全国に先駆けて罰則のある条例の成立となった。ただ、条例が適用されるのはデモ行為だけで、インターネット上のヘイト行為に罰則はなく、「表現の自由」を妨げることへの懸念も残る。


 12日のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した高橋裕樹弁護士は「罰則適用までには3ステップある。まずは参加者や、組織の場合には中心的なメンバーなどに市長が“勧告”し、6カ月以内に再度行った場合にはより強い“命令”を出す。それでもやめなかった場合には刑事罰に進んでいく。こういう規定をしている以上、7カ月目に入ったからOKだ、という感覚でやってしまう人が出てくる可能性もないではない」と話す。


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