「天国から地獄に落とされるような感覚」…流産や死産を繰り返してしまう「不育症」の悲しみ (20/02/07)

 年間90万もの新しい命が誕生している日本。しかし不妊に悩む夫婦は5.5組に1組といわれ、約50万人が治療を受けている。そして、不妊症とは異なる理由で子どもに恵まれない人たちがいる。妊娠は成立しても流産や死産、あるいは新生児死亡を繰り返し、生児を得ることができない「不育症」の患者だ。


 国立成育医療研究センターの不育診療科の三井真理部長は「母体が原因の場合、妊娠時に血液が固まりやすくなったり、甲状腺や妊娠を維持していくために必要な機能のバランスが崩れていたり、子宮の形が通常と違っていたり、といいったことがある。また、夫婦どちらかの染色体に流産を起こしやすいことが要因の場合もある」と話すが、はっきりとした原因が分からないケースが6割以上を占めるのが現状だという。「原因不明(偶発的な流産を繰り返したと思われる方)の場合、治療を行わなくても、次の妊娠が成功する可能性は高い。原因が明らかになった場合、適切な治療を行えば、最終的には80%以上の方が出産できるとされている」。


 一般的には2回以上の流産や死産の既往歴がある人が該当、年に数万人がその可能性があるといわれている。また、自治体によっては検査・治療の助成金制度があり、東京都の場合、今年1月からは保健医療機関での検査費用について助成(上限5万円)を開始した。


 それでも不育症の認知度は決して高いとは言えない。不育症患者をサポートするNPO法人「Fine」の松本亜樹子理事長は「聞いただけでは字も思い浮かばないくらいの認知度の低さだと思う。やはり何度も流産や死産を繰り返すということは、本人にとってあまりにも辛い体験なので、他人に話す機会がないことも背景にある。まだまだ研究段階という話を聞くくらいなので、専門的に扱う病院も少なく、患者さん自身、どこに行けばいいのかと悩んでいる」と話す。


続きをAbemaビデオで 視聴する

AbemaTIMESで 読む